言葉と信頼とコミュニケーション(後編)
なんだか長くなってきていますが、今回で無理やりまとめます。
さてさて、ぐっちです。ノリを使うときの注意事項を前回の中編(こちらは前編)は確認していきました。
そして、ノリにはノリの役割があることが分かりましたね。
今回はコミュニケーションを以下のように3層に分けていて、それぞれに長所と短所があり、各層のコミュニケーションは基本的にはかみ合わないものです。
①ノリのコミュニケーション
②分かりやすいコミュニケーション
③探求を尽くすコミュニケーション
なので、ノリをノリと認識しないで進もうとすると、ちょっとしんどくなっちゃいますよ、というのが前回までのまとめです。
(ともあれ、相手や状況によって、①と②のコミュニケーションを頻繁に使い、③はかなり場面が限られるコミュニケーションなんじゃないかと思います。)
では、続きです。
言葉を先に消費するリスク
ノリだけのコミュニケーションで、面白いやつやな、と思ってもらって仲良くなって遊ぶのはいいことです。ノリが合う人と盛り上がれる場を持つことは人生を楽しくするでしょう。
ただし、その場のノリだけじゃなく、継続的な関わりになった場合(例えば、約束事などが絡んできた場合)は、ノリの言葉だけではうまくいかないことも多くなっていきます。言葉だけではなく、「言葉」と「その言葉通りの行動」がセットになって初めて成就するようになるからです。そして成就して初めて少しの信用が得られるわけですが、ノリと同じようにサクサクと進んでいくことばかりではないのです。なぜなら行動には時間がかかるからです。というか、だからこそ信用には価値があるわけですが。
(とはいえ、ノリの言葉を上手に使って、信用を積み重ねているように見せることに長けている人もいます。まぁ、どっかで行動、信用がないことはばれるのですが、この辺り、突き詰めると詐欺に近づいていきますね)
言葉に振り回されないために
さて、言葉を発する本人たちも、その言葉を成就させてあげないと自分の言葉が軽くなることは重々知っています。それでもまた言葉に頼ってしまうわけです。
言葉は楽です。実現化する苦労を飛び越えることが可能だからです。しかし一方で、楽だけしているとその分だけ後でツケが回ってくるのは世の常です。成就できなかった言葉によって、信用を失っていきます。そして軽くなった言葉をこれ以上軽くしないように、言い訳が先行するようになったりします。その負の連鎖が回ってしまうと、その場で居続けるのが苦しくなってきます。
そんな自分を認めて悔いて、その場から行動で語る自分を一から創っていこうと思えれば、その人の世界は劇的に変わっていくのですが、これが本当に難しい。簡単に言葉に頼ってしまった分、「わからない」「できない」という言葉の影響力が果てしなく重たいわけです。
ほんとは、期待を上回るときの苦労と、それを経ての相手の納得感、さらには自分の満足感。このあたりがそろった時の快感が経験できれば、また違った視点も身に付いていくのだけれでも、これも、たどり着いた人だけが知れるというジレンマの中を出ないお話ですね。
世の中のコミュニケーション
コミュニケーションの種類はその目的によってさまざまです。
お仕事の場では②分かりやすいコミュニケーション
ビジネスとかお金が動くことに関しては、ダントツで②分かりやすいコミュニケーションが多いですね。
圧倒的に分かりやすいストーリーで納得・腹落ちを狙います。テレビCMとかはそれを15秒とかに落とし込んで、行動に移させるという意味では、②は多用されます。
「こうなりたいな」「便利そうだな」「おいしそうだな」「体に良さそうだな」「かわいいな」「かっこいいな」「ほしいな」みたいな部分に一直線にアプローチするために、言葉でタレントで音楽で、分かりやすく語りかけてきますよね。
小林製薬さんとかは、逆に商品名までに②を分かりやすく詰め込んでいますね。
そして、実際に購入して使ってみて、思った通りの効果があるかどうかでジャッジします。で、良いと思う・よくわからないけどこんなもんかレベル以上であればリピートしてくださるでしょう。これには、CMを出している企業側がCMで発進した言葉を、商品開発というすごく長い時間かけて研究されたもので成就する図式です。
テレビCMにも①ノリのコミュニケーションが
「君たちやっぱりプロミス」とか、「ビンゴビンゴ」とか、「アイドルが踊ってるだけ」とか。
とりあえず、雰囲気と商品名知ってもらって、気になったらあとは検索で情報集めてみてね。というネットなどで情報に気軽にアクセスできる今っぽい戦略が見え隠れしますね。
そちらのほうが圧倒的に情報量を出せますし、何より自分で調べたという自発的な行動はその商品に対する親和性を上げるでしょう。
素人でもノリで配信できる時代
こういった、作りこんだプロの仕業でなくても、素人投稿系の短い物はノリかベタかが多いんじゃないかと思います。文字や画像ではtwitterとか、動画でもTikTokとかはノリのコミュニケーションでしょう。
TikTokをいくつか見ていると、お決まりの曲に載せたパターンからのアレンジが多いですね。決まりきったパターン=ベタの安心感は、明石家定食の名前で知られる、明石家さんまさんが司令塔のお笑いのお決まりパターンを思い出してみると、ノリを定番化することで安心感安定感がでてくるので頼りやすいですね。
ちょっと角度は変わりますが「フラッシュモブ」とかもみんなでやる=疑似ベタを作ることでノリ感をしっかり入れる感じが、明石家定食に通じるものがありますね。
まとめとして
だんだん良く分からない話になってきましたが、一旦締めますw
いずれにしても、いろんな情報が得られる時代だからこそ、出したものを出しっぱなしにできる状況は整いやすいように思います。このようなコミュニケーション風土、文化に若者たちはとても近くにいて自然であるため、大人たちが育ってきたコミュニケーション環境とはだいぶ変わってくるように思います。
私もそういう意味ではデジタルネイティブではない世代ですので、大人のコミュニケーションの考え方も混ぜつつ、ノリのコミュニケーションで生きていける見方を提示できるようになる必要があるのかもしれませんね。
ここについては今後も探っていくとして、今回はtofubeatsさんの『LONELY NIGHTS』で締めたいと思います。そして、tofubeatsさん、大学の後輩なんですね。びっくりでした。
「ノリだけの時とは何か違う
頭使ってもまた間違う
LONELY NIGHTS」
tofubeats『LONELY NIGHTS』
ノリだけで人とつながれる、ってわけにはいかなそうですが、それぞれのコミュニケーションスタイルを獲得していってもらえればなぁと願いながら。
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