不登校・中退・通信・高認の全体感2024

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私がこの領域に関わりだして、早14年。
new-lookをはじめた時とはだいぶ雰囲気が変わりました。

そのあたりを文部科学省の最新データから紐解いていきましょう。
まず今回の元となるデータはこちらです。

全てのデータは、文部科学省の下記の各年度の統計データから取ってきています。
・「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
・「学校基本調査」

この数字だらけの表から何かを読み取るのは相当難しいことです。

ということで、ポイントを刻んでみていきましょう。
まずは、最近は世の中でも毎年ニュースになる2つのポイントを見てみます。

(1)「不登校」の人数について

この表は「小学校」「中学校」「高校」の不登校の人数の推移です。
こちらは全体の数値のみですが、調査ではもっと細かい調査項目(要因別とか、都道府県別とか、学年別とか)も公開されています。
「問題行動等調査」は毎年10月末ぐらいに調査結果が公開されますので、そのぐらいにニュースをにぎわすことが多いです。(2025年10月に2024年分が公開)

今回は「不登校の小中学生35万人超で過去最多 伸び率は鈍化」(朝日新聞:2025年10月29日)などの見出しで掲載されました。

ということで、2024年度までの10年間の推移です。

(1-1)コロナによる影響

誰が見ても分かる転換点としては「2020年」です。もちろんコロナ始まりの年です。
前後でグラフの傾向が変わっていることが見て取れます。

この年は、それまでの傾向からすると不登校の人数が減っているのが明らかです。これは「緊急事態宣言下に伴う小中学校休校」の期間(3月から5月末まで)と、その後の各自治体の判断による分散登校などのためです。これによって不登校の要件である「年間30日以上の欠席」にゆがみが生じたためであることは想像に難くありません。

この時期は、学校に通っていた人たちもみんな揃って自宅待機感がありましたので、不登校の子供たちの緊張感はかなり和らいでいたように思います。
(休校時の子どもたちの生活の様子などは、いろんな方が調査研究していますので、詳しくはそちらを探してご覧ください)

(1-2)小中学校と高校との違い

「小学生」と「中学生」のグラフは平行線をたどっているように見えるので、なおさら「高校生」のグラフの角度との違いが目立ちます。「小学生」「中学生」がぐんぐん上がっているにもかかわらず「高校生」はそこまで上がっていってないことは一目瞭然です。

なぜ高校生だけが不登校がそこまで増えていないのか。
グラフにはしていないですが、その答えは通信制高校生の激増です。
「不登校」の生徒が、通信制高校に「転校」しているため、「不登校」としてのカウントは減り、「通信制高校生」としてカウントを伸ばしていると考えられます。現に、ここ3年は前年比10%増と爆発的に生徒数を伸ばしています。

「小学生」「中学生」では、「通信制高校」という代替進路がないために、不登校の生徒数が伸びていると考えられます。(「中学生」が2023-2024でほぼ横ばいで、これが今後どうなるかも気になるところです)

(2)「高校中退者」の人数について

先ほど、「不登校の高校生」が減っていて「通信制高校生」が増えているという話をしましたので、高校から人がいなくなるわけだから、もちろん「高校中退者数」は増えていると思われるかもしれない。
でも、じつは「転校」は「転校」でしかなく、「中退」は「中退」で別のカウントです。そのため、「転校」の人数は「中退者」ではカウントされません。(詳しくは、「転校」は高校の在籍期間に空白がない状態で次の高校に移っていくことで、「中退」は高校を辞めてしまうため高校に在籍しない期間ができることになります)

このグラフを見ると、当たり前のことではあるが、コロナの影響を最も受けているのが「全日制高校」であることが分かります。

それはさておき、ここで確認したいのは、
・全日制高校でも、通信制高校でも、高校中退者数がコロナの2020年以降増加傾向である
ということです(グラフで分かりにくい場合は、表の数字を見返してください)。
(こちらも、2023-2024で「全日制高校」中退者数がやや減少傾向なので、先ほどの「中学生」不登校数とともに経過を要チェックしていきたいところです)

先ほどの「不登校」の項目と合わせると、全日制高校は「不登校」はそこまでの増加ではないが、「中退」の人数は増えていて、「通信制高校」への「転校」も増えていることが想像されます(全日制高校から人が減っている実態)。
※「全日制高校中退」から、「通信制高校」に再入学するケースなどもあります。

一方、通信制高校生の数は爆発的に増えていっていることは前に確認済みですが、通信制高校の中退率は少しずつ下がっていっていることにも注目でしょう。通信制高校があることによって「高校生」でいられている人が増えていることは良い面の1つだと言えます。

ただ、この「通信制高校生」の中退者数の増加が、少し気になっています。そのことについて、この後話していきます。

(3)通信制高校生の中退者数増加と、高卒認定受験者減少から見えるもの

次のグラフは、通信制高校中退者の推移と、高卒認定試験の受験者数の中で高校中退経験がある人数の推移を同じグラフに載せたものです。

高卒認定試験とは、昔の大検で、高校を卒業していなくてもこの資格を持っていれば、大学や専門学校など高等教育機関にも進学できるようになるための試験です。
この試験の詳しい内容は別に任せるとして、そのような内容のものなので、通信制高校で高卒学歴が取りやすくなっている昨今、受験者数は減少しています。(このブログでは、高卒認定試験取得を「高卒資格」、高等学校卒業を「高卒学歴」と区別することにします)

このように、「通信制高校」では高卒学歴が得られ、「高卒認定試験」では高卒資格が得られるため、「通信制高校生」が増えると「高卒認定受験者」が減り、「通信制高校生」が減ると「高卒認定受験者」が増えるような関係になると考えられます。

それにも関わらず、グラフを見ると「通信制高校生」の「中退者」が増えているのに、「高卒認定受験者」が減り続けています。これには少し警戒が必要です。

先ほど「通信制高校があることによって「高校生」でいられている人が増えていることは良い面の1つ」と言いましたが、それだけでは終われません。通信制高校生ではあるが、単位取得などが進まない層があることに触れておかないといけません。
(10年ぐらい前にとある公立の通信制高校に視察に行かせていただいた時に、そのような方が800人ぐらい在籍しているという話を伺ったことがあります)

通信制高校では、毎学期「その期間で単位取得を目指す科目」の履修登録をしますが、「ちょっと今は動きにくそうだから今期は単位申し込みはしない」みたいなことができます。もちろん、このような制度があることは通信制高校としては望ましいことです。そして、通信制高校にも「在籍期間の上限」があります。学校によって違いますが、ほとんどが「6年」とか「8年」です。

ここからは私の推論になりますが、「通信制高校生はここ10年で見ても増加傾向」「通信制高校で単位取得が進まない人がいる」「在籍期間の上限が6~8年」という事を組み合わせると、近年の通信制高校の中退者数の上昇は、あまり堅実に・活発に動けない人たちがそのままの状態で、高校中退を余儀なくされているのではないか、その結果、中退となったとしてもスムーズに高卒認定試験の受験に進めないのではないか、と考えられます。

「通信制高校生ではあるが、単位取得などが進まない層」の実態調査を進めないと、そのような人達は社会からどんどんおいていかれて数が増えていってしまうかもしれないと考えています。
この立場ではなかなか調査は難しいが、どうにか考えていきたいところです。

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