今回は、解像度を上げるということは、人生において結構いいことですよ、という話です。ここで言う解像度は「知識や経験によって世界の見え方が変わる」という意味で用いています。
1.「穴」のたとえ
真っ白いフィールドに、ぽっかりと1つの穴が開いているとします。
それを上からみれば、黒い日の丸の国旗のような感じで見えます。

そのようなフィールドを横切らないといけない場合、もちろん穴は回避して通るでしょう。
もちろんこれば、アナログ的に視覚情報を受け取っているために可能なことです。
しかし、次のような場合はどうでしょう。
・パターン1:解像度がものすごく粗い場合(全体が1ピクセルだとすると)
全体が1つの色でしか表現できないため、最も面積の広い「白」が選択されます。

そうすると、画像のように一面真っ白になるため、どこに穴が開いているのかが分かりません。
白く安全なフィールドに見えて、不意に穴にはまってしまう。
それでもどこが穴かが分からないままだと、何度も穴にはまってしまったり、
その度に自信を失ってしまったりする可能性があるわけです。
このフィールドと穴の大きさを考えたら、4分割でも同じく真っ白でしょう。

この「ちょっと解像度上がったぐらいでは何も変わらない」ということも良くあることです。変化を感じられないことは、意味がないように思えてしまうものですし、その傾向はますます顕著になってきているように思います。
そして、勉強する目的次第では、これが「勉強は意味がない」「勉強は面白くない」とかにつながったりもするわけです。
・パターン2:解像度が3×3の場合(全体が9ピクセルだとすると)
フィールドが9分割されており、それぞれのピクセルごとに色を設定することができます。

そうすると、ようやく、真ん中の穴が開いているところだけが黒く、その他は白で区別できるようになります。
黒の部分には穴があることが分かりますし、それを避けて通ることもできます。
穴に落ちることもなく、スムーズに物事を進めていくことができます。
このレベルの穴を回避するためには、少なくとも画面を9分割できる程度の解像度が必要だった、というわけです。
もちろん、もっと解像度を上げた方が、より安心してキワキワを攻められるわけで、
タイムアタックとか成果にこだわりを持って生きる人はいろんな解像度を上げる修行を積んで、より良い成果に向かっていくわけです。
2.「山道」の例え
穴の思考実験的なモデルでなくても、現実世界でも基本的には同じ考え方ができます。
例えば、「山道の写真」を1枚にしても、ちゃんと知識や経験がある(解像度が高い)人と、そういったものが全然ない(解像度の低い)人では見え方が全然違うでしょう。

例えば、映っている植物を見て、
その植生から大体の地域が分かるかもしれませんし、季節が読めるかもしれません。
また、その植物が食べられるかどうかとか、その植物を使っての遊び方とか、その危険性とかも見えているかもしれません。
他にも、下草の倒れ方や泥の足跡で、周辺にいる動物とかをうかがい知ることができるかもしれませんし、地形や地層、岩石から得られる情報もあるでしょうし、空の雲などからも読み取れるものがあるかもしれません。
そういったものの知識があるかないかによって、同じ風景でも見え方は全く違うでしょうし、
その楽しみ方や、活用法など人生の進め方も全然変わっていくことでしょう。
このように、現実世界の物であっても、ちゃんと物事を知っているかどうか(解像度が高いかどうか)で生き方が変わっていくことが感じられるでしょう。
3.「自分自身の内面」の場合
現実世界でも、という話でしたが、それは何も目に見える外側にあるものばかりではありません。
人間の内面、自分自身の内面に関しても同じです。
人間の内面に関する解像度の程度は、例えば人間の持つ感情や感覚の機微をどれだけ感じ分けられるかが1つの指標と言えるかもしれません。
「やったけど、できなかった」
「やってみたけど、できなかった」という経験は誰にでもあるかと思います。
これも、ただただ「やってみた」。
そして、結果として「やれた」or「やれなかった」というだけでは、
真っ白のフィールドをたまたま「歩けた」or「穴に落ちた」という形と同じ状態です。
では、この場合の解像度が高いとはどういう状態でしょうか。
「やってみたけどできなかった」には、「やってみた」という行動と、「できなかった」という結果しかありません(「できた」の場合も同じく結果です)。
私たちは人間ですので“行動”を淡々と進めて、それぞれ“結果”が出ただけ、でどこまでも進んでいくことは難しいです。
というか、淡々と進められるのであれば、「できる」までやれば良いだけですので、「できなかった」という結果にはたどり着かないはずです。
「できなかった」という結果で終わってしまっている以上、“行動”と“結果”に“意図や意識、感情”など人間的な内面が影響しているはずなのです。
「やる」を考える
ということで、内面を意識すると「やる」という行動にも、下記のようにいろんな角度が見えてきます。
- 「やれるからやる」
- 「やりたいからやる」
- 「やろうと思っていたからやる」
- 「やらないといけないからやる」
- 「やった方が良さそうだからやる」
- 「面白いからやる」
- 「他人のためにやってあげたいからやる」 などなど
ぱっと思いつくだけでも、、というかまだまだたくさん出てきそうです。
あ、大事なものを忘れてました。
・「やりたくないけどやる」
もありますね。
内面の解像度が高いかどうかは、それぞれの違いを感じ取れるかどうかです。
「やりたいからやる」と「やろうと思っていたからやる」とか、
「やりたいからやる」と「面白いからやる」とか、
「やらないといけないからやる」と「やった方が良さそうだからやる」とか、
このあたりは、ちゃんと意識して区別するのは少し難しいかもしれません。
そして、大事なのは、
どれなら「できて」、どれなら「できない」のか、を自分の経験や感覚として知っているかどうかです。
自分自身のことを知って、自分はこれなら結構いい感じで進められるor進められない。を知っているかどうかは、自分の歩みを確からしくするために重要なことです。
いろんな角度で自分の内面を見つめつつ、その内面を持ったうえでどのように行動して、そしてその結果がどんなものであったかという自分研究の履歴を、地道に経験として積んでいくことが求められます。
そして、「できた」という結果を高確率で引き寄せられる自分なりのスタンスを見つけたいところです。
「やりたくないけどやる」境地へのヒント
と締めても良かったのだけど、多くの人が「やりたくない」ことを「しなければいけない」状態だと思いますし、ここは相当に難しいところですので、ヒントというかなんというか、もう少し続けてみましょう。
「やりたくないけどやる」までどのように持っていけるのか。どれも難しいところですが、3つの方向で考えてみます。
1.とりあえず「やる」
これは、さっきも言っていた「淡々と」心を無にして、人間であることを止めて、やるべきことをやるという方向のお話。身もふたもない強引な角度ですが、心を無にすると決めて向かうことはある一定の効果があるかもしれません。
こちらをお試しの際は「おれは人間をやめるぞ!ジョジョーッ!!」(『ジョジョの奇妙な冒険』第2巻)と気合を入れてみてください。こちらは心を無にするというよりは、だいぶ情熱的ですが。
もし、人間のままでやる場合は、「しゃーなしやるかー」「しゃーなしやでー」と口にして始めるのも良いかもしれません。自分の中の嫌だという気持ちも殺さず、それを言葉で無理やりやる方向に持っていく荒業です。ただ、粗そうに見えて「言葉を発する」という小さな行動からスタートしている点はなかなか理に適っています。
2.やることを細分化して「やる」
これはアドバイスとして一番良くあるお話。いわゆるスモールステップというやつです。
大きな1段を細かな10段とかにして「細かい段差なら登れそう」と思って気持ちを向かわせてとりあえずやってみる。進み始めたら勢いも付くので続けてやっていける可能性が上がるというものです。
いずれにしてしても、これらの2点については「とにかく動く」ことに重きを置いています。その場に留まったり、“何もない”ままだとネガティブになってますます状態が悪化するのが常です。また、考えすぎても重くなるし、一人で悶々と不安だ嫌だと向かいあっていても状況が好転することはありません。「とにかく動く」は大事です。
3.「やりたくない」を何とかする(ちょっと高度)
こちらは、自分の認識を変えてしまおうとするものなので少し高度です。1の「心を無にする、意識を消す」みたいに完全オフの切り替えよりも高度です。1つは「思い込み」や「自己暗示」的なことで自分の認識を変えるやり方です。これはググればいろんなやり方がすぐに出てきますので、自分に合ったものを探してみてください(どっぷりはまってしまうリスクもありますので、距離感は気を付けながら。このあたりはリスクとリターンの関係なので特に難しいかもしれませんが)。
もう1つは、行動できるレベルまで意識を乗せ続ける方向です。なんだかネフェルピトーさん(『HUNTER×HUNTER』29巻)がちらつくフレーズですが、要は「やる理由」「やった方が良い理由」を何でもかんでも詰め込んで、「ほなやったほうがいいかー」に持ち込ませる形です。
自分の意識をコントロールするのも技術です。少しずつ自分の良い方向のために使うなら鍛えても良いかもしれません。
と、まぁいくつか挙げてみました。それぞれのやり方に共通して大事なのは、試してみたあと自分の気持ちや感情がどうだったのか、を振り返ってみることです(特に3はすぐには適切な振り返りができない可能性も高いですが)。いろいろ試し、考えて、繰り返して、少しずつ自分の良い形に近づいて行きましょう。
その「やる自分」に向かっていく姿勢は、良い成長には欠かせないものです。