高校生と高校中退者の違いを作るもの(その1)

社会・保護者のまなざし, 高校中退者のまなざし高校中退, 高校, 進路指導

さてさて、ぐっちです。

今回は「高校中退すると人生終わり」を少しゆっくり考えたいと思います。
「高校生で居続けること」と「高校に行かないこと」にはどんな違いがあるんでしょうか。

高校中退した日のことをイメージしてみる

手始めに、少しイメージしてみてください。

ある日、高校生の私は、高校を辞めてました。

・・・ん?

さて、何をどうすればいいんだろうか??
調べるのもめんどくさいなー
どうすればわからないなー
よーわからん
わからんなー
・・・
・・・
(そして考えることを止めた)

となっていく可能性は簡単に想像できますね。

高校を中退すると感じると思いますが、人生を自分だけで先に進めようと思うと、ほんとはかなり難しいことなのです。だから、わからなくなってる人がいても、それが普通。大丈夫です。
学校制度に乗っかって、ルールに従っていればとりあえず進める。ということではなく、だれも教えてくれないなか、自分で自分の道を作りながら進もうと思うと、実は本当に大変。

高校生が自分の人生をどうしようかと考えるのと、中退者が自分の人生をどうしようかと考えるのではその難易度は絶望的に違います。
丸腰で荒野に放り込まれたときに、どのように歩みを進めるかをイメージできるでしょうか。
どうしていいかわからない人がほとんどでしょう。

中退者の見えている世界もそのぐらいの難しさがあるのですが、その人自身も家族も社会も理解していないため、圧倒的な窮地に追い込まれてしまう。

あ、言っときますけど、
高校辞める人と高校に残る人、その中退時点での違いは個体差、誤差の範囲ですからね。問題はそのあとに徐々に広がっていくことをお忘れなく。

①誰かが用意してくれる経験値の差

高校に在籍していると、様々な社会を見せてくれる人がいます。
先生が準備してる社会見学的なものも進路指導的なことも、先輩が見せる進路も。
生徒たちが先に進みやすいようにあれこれ売り込んでくる業者さんもそうかもしれないですね。

一方高校中退者は得られる情報がとても少なく、かつ偏ります。
仲間内からの情報、自分で調べた情報。

情報は少ないのに、あゆめる道は無限大なので、選びようが難しいのです。

選択肢が限られていると選ぶだけで済みますが、選択肢がないと選ぶことが格段に難しくなります。
2択問題より4択問題、それよりも記述問題のほうが難しいと思う方も多いでしょう。
荒野の真ん中から、どの方向に町があるのかもわからぬまま、歩みだせと言われても、どうすればいいのか途方に暮れる人も多いでしょう。これでは一歩が踏み出せなくても当然です。

②社会的な防具(身分)の保証

「高校生」を名乗れるかどうか。これもとっても大きな違いです。

「高校生」と名乗れると、大体の人には「そうか。高校生なのね」と納得してもらえます。
一方、
「高校に行っていない」となると、「高校も行けないの?」「なんかダメな人なの?」みたいな視線が注がれます。そして、「高校生です」「〇〇高校通ってます」などと答えられない自分にまた「自分はダメなんだ」というレッテルを貼ったりしてしまいます。そうなるとなかなか進めるものではありません。

    「学割」「補助金」などの金銭的な違いについては長くなるので別の機会でまとめたいと思っています(関連11)

がしかし、これも裏を返せば、その人の絶好の修行期となり得ます。
防具に頼らない分、自分自身を鍛えるというチャンスになり得ます。

    と言っても、これは乗り越えた人にしか言えないジレンマのようなものなので、こういう話はまとめて別の機会で(関連12)

この先の社会がどうなるかわからない以上、学校で教えられるものよりも、自分自身を知ることのアドバンテージは本当は計り知れず大きいものです。
難しいものを超えた時、得られるものも大きくなる。
ハイリスク、ハイリターンと言われるやつです。

③厳しいまなざしと自分への厳しさ

    関連8)の内容です。

これは、①の流れで与えられているものが少ないがために避けられないものではありますが、高校を中退すると、保護者の方からこういった質問を浴びることがあります。

「次はどうするの?」「どうやって生きていくつもり?」と。

これと同じような質問は高校生にも投げかけられますよ。
「将来の夢は?」「次の進路どうする?」などと具体的で、まだ答えやすい内容で。

それは「夢なんてない」といっても「今は高校生」という身分で安心されるし、
「次の進路」なんてものは、大学、短大、専門学校、就職の4択問題です。
しかし、高校中退者へは「どうやって生きていくつもり?」などと、果てしないオープンクエスチョンが飛んでくる。

きっと高校中退者への質問を高校生にしたとしてもまともに答えられる人などいないにもかかわらず、高校中退者には、真に迫ってこの質問を投げかけられる。

そして、高校中退を失敗だと思っている人は、「次こそは失敗しないように」という強い思いと相まって、見えない未来に対して「確実な」答えを探すがあまりどこにも進めなくなってしまうことがあります。

終わりに

もう一度お伝えしておきますが、高校生と高校中退者の差は、辞めることを選択した時点では、個人の資質や可能性はほとんど変わらないと言ってもいいでしょう。

問題はそのあとの積み重ね。それをどのように埋められるのか、サポートできるのかが私のお仕事。頑張らないと。

高校中退者のみなさん、大丈夫ですので、いろいろ悩み考えながら自分だけの人生を探してください。聞きたいことはいつでも質問投げてください!その人生、応援します!