今話題の高校の教育無償化について

社会・保護者のまなざし

基本的に子供のために、少子化政策のために、というなら、
「お金巻き上げて政治家・行政マンの都合でばら撒くんじゃなくて、
 国民が自分で使えるお金を取り上げないで増やしてほしい」
という考え方ではあるんだけど、今回は教育無償化で進むことになりましたね。

ということで、私は今回の高校無償化についても基本的には反対の立ち位置です。

(1)私の活動範囲(不登校や高校中退)での影響

例えば、通信制では「1単位で〇〇円」という学費の計算の仕方で、
「通信制」の本体部分だけは所得制限ありとはいえ、就学支援金で“実質無償化”されています。
(「実質無償化」という言い方もポピュってる感じで嫌いですが。
 「税負担化」だし、無償化にならない人もいるし。)

一方、その本体部分以外(例えば週〇日通えます。+αの講座取れます)は
普通に塾とかの教育機関と同じ扱いで家計負担になってきます。

もし、無償化の範囲がその「通信制」+それ以外まで含むなら、
私立はもとより、株式会社立(と株式会社が作った学校法人)は、
そこの費用も税負担できる上限まで上げるでしょう。
それどころか「支援金があるから安く利用できますよ」という営業トークも容易に想像できます。
※というか、今まで1単位8000円とかだった通信制高校も、
この就学支援金が始まったら上限に近い1単位12000円とかに値上げしてたりしてるし。。。取れるだけ取るのは当然の動きでしょう。
企業の経営する学校に税金を投入する意味って、献金を期待してるんだろうかと思ってしまう。

そしてもしも、無償化が「通信制」部分だけであれば、現状とあまり変わりません。
というか、「通信制」本体部分だけで自分で自分を管理しながら通信制高校を卒業できるなら、学費の極めて安い公立の通信制高校で、支援金に頼ることなく年5万程度で卒業していければよいと思います。(公立は1単位当たり数百円程度)

結局、卒業のための必要なフォローとして+αの学費がかかるのであれば、
通信制高校生やその家庭にとっては、無償化されるといってもほとんど変化はないと思います。

(2)国の土台が削られる方向に行きかねない

ここ数十年、教育に限らず、
制度を作って(その制度:補助金を利用した民間業者が増えることで)、
公が直接やってるところからは手を引く。という流れはいろんなところで見られます。
(いわゆる民営化という話もこの流れの一部ですね)

そうすることで、行政側は税の支出が減るので短期的には成果が上がったように見せられます。

これによって支出(歳出)の減る行政マンも、数字上よく見せることができた政治家もにっこりです。
さらに、それを仕事にしている企業団体も懐が潤って、政治家に感謝の献金を送られるでしょうからにっこにっこです。
挙句の果てにはそんな感じで政治活動をしていても、目先の成果とメディアの扇動で国民は騙されてくれるので、政治家としてはその次の選挙も安心。お仕事は続けられて安泰です。

でもその一方で(教育も福祉も医療もインフラもお金がペイできない領域の土台の)見えない部分はどんどん削られていきます。
そして長期的な視点で見た時には、国としての教育や文化、生活の基盤がボロボロになって、お金がある人だけが安心な国になっていってしまうんだろうと危惧しています。

※こういった視点(私立高校を選ぶ人が増える=公立高校の人数が減る→公立高校を無くす理由の1つになる)に立ってみても全日制高校の私学の無償化も反対ですが、
私学の無償化という意味では、もう一つ危惧している部分があります。

それは、私学がこの無償化のための私立学校の教育の独自性が奪われる日が来るのではないかという危惧です。
①補助金をもらうこと=財布を握られるために、
 国の意向に従わないといけない部分が増えていく可能性
②「私立=無償のはず」という考え方になるため、
 より価値の高い教育のために無償化の額以上の学費を設定している学校が敬遠される可能性
(教育の価値は、短期的数字的に見えるものでないものが多いと思っている)

(3)政治家のための高校無償化にしか見えない

無償化と聞けば「良いことやってくれた!」という国民(特に直接的な影響を受ける高校生子育て世帯)は喜んで、支持率(=次の当選)につながるかもしれない。
ただ、これが、政治家たちが「国民に必要だから」と選択されたわけではなく、
「所得税の控除額を178万円とかに上げるよりも高校無償化の方が税金を使わない(集める税金が減らない)で済む」みたいな文脈で進んでいったように見えるのです。

もう少しややこしい政局の話をすると、
今まで自民党(安部派)が持っていたとされる私学への利権を
安部派の嫌いな自民党(の現政権)が奪い取ることを目的に、
結果維新に明け渡しただけ、という一切国民の方を見ていない政策とも見えてしまいます。

維新は国民からの批判は無視しつつ、私学利権からのキックバック(献金)使って
選挙戦でそのお金使いまくって、メディアをはじめいろんなものを使いつつ
何でもありで当選もぎ取れると思ってるんだろうと思ったりします。
(兵庫県知事選の成功体験とか、維新の関西人気とか含めて)

(0)そもそも少子化対策への効果はほぼないただ、これやっても子供は全然増えないと思います。

・物価の上昇による可処分所得が減少している
・税負担・年金負担の上昇による可処分所得が減少している
・将来にわたってどんどん「社会を支えるために若者から搾取する」傾向は高まりそう

子どもがいない・少ない世帯が、今も辛い、未来はもっと辛いと感じることを解消しないといけないのにそれに対して「高校無償化」はあまりにも弱いしピントが外れてしまっています。

「政治家は滅私でなければ勤められない」という話を聞きますが、私利私欲のためにではなく国民のための滅私、ではなく政治闘争を勝ち抜くための党利党略のための滅私、になってしまっているのが大元の問題だと思うのですけど、
少子化対策の根本の問題解決のために動くことすらできず、目先の何かの為だけにやった感を演出する感じが(いかにも滅私()な動きではあるが)、
この高校無償化の動きの中で見えてくるので、この無償化にはなんだかなぁの立場です。

こども増やしていくのが「もう手遅れ」って言うのも、「最後のチャンス」って言うのもどっちも無責任だと思いつつ、今の議論だと「これからの子ども」「今の現役世帯・氷河期世帯」「高齢者」のどの命をどのように大事にするのか、って選択の問題になってるのが出口がないよなと。