式典に行けなかった

大韓航空機撃墜事件

今年はいつもと違う形での式典参列になりました。
コロナウイルスの影響で、関西から稚内にウイルス持ち込む可能性を考慮して、今年は式典と2020年。

とりあえず、式典にメッセージを送りつつ、私は時期をずらしての稚内訪問となりました。
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【式典】
まずはじめに、今年も記念式典を守ってくださっている稚内市の方、関係者の皆様方に心から感謝いたします。
今年は新型コロナの影響で、そちらに伺うことも自粛させていただきました。
みなさんと一緒に宗谷岬で風に吹かれながらいろいろ思いを馳せる機会を逃してしまったことはとても残念です。

昨年は9月3日の開催で、今年は未出席となり、さらには岡井さんの逝去。いろいろ重なりつつ少しずつ変わってく世の中を実感しています。 形を変えていくなかでもちろん薄まっていくものもあるでしょうが、逆に変わっていく中でより濃いかかわりができないかとも考えます。

思えば私がここに来るようになったのが父親が亡くなった32歳になった年でした。
それから8年が経ち、父より長生きして先に進んでいることを実感することもあれば、
先日は実家の整理中に、母が保存していた事件関係の書類がたくさん出てきて改めて考える時間がありました。
離れていくことも近づいていくことも様々まじりあった生活を送っています。

この事件は、確かに37年も前の話で、私自身にもどこまでリアリティがあるかと問われれば難しいかもしれません。
それでも、様々な機会の中で「国や人の関係」や「人が亡くなること」についていろいろ考えさせられます。
できればそのことについて、先を生きていく皆さんと一緒にそれらについて考えていきたいと思いますし、
それが、この悲惨な事件を活かす方法だと思っています。

今年は式典のタイミングで稚内に行くことは叶いませんでしたが、
別の機会、あるいは来年以降も機会があると信じて、
遠く関西からともに祈りを捧げます。

大韓航空機遺族会 山口真史

【祈念の灯】
まずはじめに、今年も祈念の灯を守ってくださっている稚内市の方、関係者の皆様方に心から感謝いたします。
今年は新型コロナの影響で、そちらに伺うことも自粛させていただきました。
灯篭を眺めながら事件のことや8月30日に逝去された岡井さんのことなど、思いを馳せることができなくてとても残念です。

事件から37年経ちました。とても長い時間が経ちました。
事件との関わりも人それぞれ、様々な関わりを持っていらっしゃると思います。
私も式典に参加させてもらうようになってまだ8年目ですし、
先日も実家の整理中に、母が保存していた事件関係の書類がたくさん出てきて改めて考える時間がありました。

事件のことも、命のことも、平和のことも
どれほど考えても答えが出るものではありません。
それらを考える機会を毎年守っていただけるのは遺族としても本当にありがたいです。

今年は稚内に行くことは叶いませんでしたが、
別の機会、あるいは来年以降も機会があると信じて、
遠く関西からともに祈りを捧げます。

大韓航空機遺族会 山口真史
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鎮魂の思い陶芸に 大韓航空機撃墜で長男夫妻犠牲 岡井さん死去84歳(西日本新聞:2020/8/30 6:00)
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/640080/