「ことば」第4回:熟語は漢字+感じ(単語・熟語part1)

第3回までで文章全体の大きな話でしたが、今回からは一転、とても小さい視点のお話です。

「前回の主語と述語の難しいやつはどうするんだ?」という声が、むちゃくちゃしっかり読んでくれてる方からは聞こえてきそう(きたら嬉しい)ですが、知識はつながればつながるほど力が格段に強くなっていくもので、これから出会っていくたくさんのことばを力に変えていけるように、小さな視点のお話に移ります。ことばの小さな積み重ねが大きな山になるように、積み重ねられるような読み方をしていってもらいたいなと。

「熟語」→「暗記しなくちゃ」じゃもったいない

注意したいのは「熟語」は熟語としての意味だけを覚えて終えないようにしてほしいです。
例えば「水筒」は「液体を入れて持ち歩けるようにした容器」って覚えるんじゃなくて、「を入れるだから「液体をを入れて持ち歩けるようにした容器」って感じで、その熟語を構成することばの意味を味わって覚えていくと良いです。それは知識の定着、暗記にとっても非常に有用です。

ついでに、「熟語」も「した(ことば)」という感じで、世の中で十分に意味が通じるぐらい使われて熟した言葉、で「熟語」です。

もちろん、「水筒」も「熟語」も自分で使いこなせるぐらい意味を分かっていけば、わざわざワンクッションを意識して味わわないくても良いですが、熟語がそういうものなりたちなんだろうなーと思いながら言葉に触れることにはじわじわ大きな意味があります。

※ちなみに、言葉を身につけるのは、上記のように座学で文字から身につけることもあれば、周りで使われている言葉を体験的に身につけることもあります。体験的に身につける場合は、わざわざ上のような理解をはさまないと思いますが、機会があれば考えてみてください。

こんな感じで熟語は漢字と漢字の組み合わせなので、漢字1文字ずつから学べるものを学んで、一文字一文字の知識をつけていくと良いこともあります。例えば、他の熟語で同じ漢字が使われているけど見たことない熟語であれば意味が想像できるかもしれません。ということでそれぞれの漢字1文字1文字への感性も上げていきましょう!
進めていくと「漢字一字でも複数の意味を持ってるやんあ。なんやねん。」とか、「複数の意味だと思ってたけど根本は同じで意味で、それが派生してるだけやん!」なんて気づきが得れたりもしますので、一つ一つのことばに「へー」とか「はー」とか思いながら見ていってほしいです。

とはいえ、一個一個いちいち意味考えるだなんて面倒だと思うと思いますが、この小さな積み重ねがあとあとの大きな意味につながっていくので、めんどくさくない範囲の習慣にしてやってみてみてください。「リスクとリターンはバランス取れてるのが世の常」ですので。

<よくある熟語の成り立ち>

二字熟語を考えた時に、その2つの漢字の関係について考えてみたいと思います。こちらは、高卒認定試験でも国語第1問で問われることのある考え方です。

熟語で使われる漢字の関係は大きく分けると次の2つになります。
(1)〇-〇、(2)〇⇔〇
高卒認定試験の国語、第1問でも「同じ構造を持つ言葉はどれか」みたいな形で問題になることもあります。これから各項目2つ3つほどの熟語を挙げて考えていきますが、高卒認定の問題は分かりやすい関係性のものしか出ていないのでそこは安心してみていってください。

(1)〇-〇の関係

これは、それぞれの漢字が独立していて、
同じような意味や逆の意味の言葉などをただ並べて熟語を作っているパターンです。
① 同じような意味
・寒冷:寒い(さむい)・冷たい(冷たい)  ⇔温暖
・奇妙:奇(ふしぎ)・妙(不可思議)
・省略:省く(はぶく)・略す(略す)

② 反対の意味
・難易:難しい(むずかしい)・易しい(やさしい)
・濃淡:濃い(こい)・淡い(あわい)
・抑揚:抑える(おさえる)・揚げる(あげる)

③ 名詞+名詞
・雷雨:雷・雨
・咽喉:咽(口の奥)・喉(のどの奥)
・泥沼:泥・沼

(2)〇⇔〇の関係

一方こちらは、2つの漢字の関係性が見える熟語です。
こちらのパターンの熟語が圧倒的に多いです。
① 主語動詞の関係
・地震:地が震える
・独占:独りが占める
・周知:周りが知る

② 動詞目的語の関係①(〇→〇)
・戦略:戦いを略す
・自信:自分を信じる
・金融:金を融る(とおる:融通する)

③ 動詞目的語の関係②(〇←〇)
・登場:場に登る
・棄権:権利を棄てる
・投稿:稿を投げる

④ 修飾語+名詞
・温度:温かさの度合い
・戦術:戦う術(すべ)
・豪雨:豪(大きく勢いがある)の雨

⑤ 修飾語+動詞
・頻発:頻り(しきり)に発される
・必需:必ずもとめる
・急逝:急に逝く

⑥ 動詞+動詞(〇→〇)
・掘削:掘って削る
・信頼:信じて頼る
・逮捕:およんで(追いついて)捕らえる

<見たことない熟語に出会ったときは>

わからない熟語がたくさん出てくると、読み気もなくすし、問題解くのも諦めがちになりますよね。でも、漢字1文字1文字への感度が高ければ何とか推測しながら解き進められることも多くなります。
「わからん」⇒「諦めよう」ではなくて、「分からん」⇒「推測しよう」になっていけると可能性がつながります。

具体的にどうすればいいかと言うと、
1.「他の言葉でいいかえると?」
2.「その字を使った他の熟語は?」
の2つを考えると良いかと思います。個別例を考えてみましょう。

「この提案を拒絶した」
この文章の「拒絶」の意味が分からなかったら・・・

1.言い換えてみる。
「提案を」なので、普通なら受け入れるか断るかになるかなぁ。。確認とか修正もあるか。。ぐらいに考えます。今はこの1文だけなので「受け入れる」「断る」「確認する」「修正する」などいろんな言葉が候補になりますが、前後の文脈が分かると格段に精度は上がっていきます。

2.同じ漢字を使った他の言葉を考えてみる。
漢字1文字ずつ考えると、 拒む(こばむ)、絶つ(たつ)
>この漢字を使った他の熟語は、
・拒:拒否、拒食(⇔過食:食べ過ぎる)
・絶:絶対、絶命、絶景、気絶
離す、無くなる方向の言葉が多いから、「断る」の意味に近そうだ。となるわけです。

※ 熟語っぽいものでも、固有名詞はやりようが難しい
人名や地名も漢字2字で書かれるものも多いし、その感じに意味を当ててつけられていると思うが、一般用語の熟語とは難度も、方向性も別の話になってくるので、人や土地、物の名前は推測は意味がないですが、文脈で固有名詞であることが分かることが多いはずです。

※ 四字熟語も同じように熟語+熟語で意味が分かるものもある。
大器晩成、孤軍奮闘、法令遵守など、一つ一つの漢字、もしくは二字熟語×2と考えると意味が見えてくるものもたくさんあります。四字熟語については、故事成語とかも含めて別で1度取り上げたいと思います。

このように、日常的に目に映る熟語に対しても、「あーこれはこういう感じなんかなー」と考えるだけで、手に入れられる知識はどんどん増えていくものなので、その意識から始めてみてください。
はじめはめんどいなーと思うかもですが、慣れれば自然に言葉の感性と知識が身についてくるはずです。

※ 最後に、高卒認定試験 国語 第1問にとっておきの問題集をご紹介しておきます。
お薦めの参考書はダイソー『大人のいきいき脳ドリル 漢字・語句』(100円)です。難易度とコスパで、高卒認定対策にはとてもいい本だと思います。
このレベルが難しい!って人はもう少し簡単なものもあると思うので、恥ずかしがらず自分に合ったレベルのものから積み上げていくのが一番近道です。無駄なプライドはほんとうに成長を阻害してきますので、プライドはうまくコントロールできると良いなと思います。

(サムネにはfirefly(adobe)を使用しています)

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