「ことば」第3回:「ことば」の基本は「誰が」「何をした」
第1回、第2回では、言葉は面白くも難しいものということを見てきました。
これは言葉選びの問題で、長く時間をかけて慣れていくものなので、あまり気を張りすぎないでいろんな表現に触れてもらうのが良いかと思います。
結局、ことばは「誰かに何かを伝えるためのもの」。
なので、言葉選びもそうだし、英語とか日本語とかも文法的な違いはいろいろあるだろうけど、同じ人間が何かを伝えたいと思って発達してきたものなので、伝わりやすさも重視しているはず。逆にいうと、みんなが理解しやすい形が残っているものだと思います。
なので、英語とか日本語とかあまりこだわらず、いろんな文章を「何を伝えたいんだろうなー」と思いながら、少しずつ言葉の感覚を身につけていけるように進めていきましょう。
まずは「誰が」「何した」をつかみましょう
文章の一番の核は「誰が」「何した」。
木に例えると、「誰が」「何した」が一番太い幹です。
その幹にいろんな伝えたい情報を枝とか葉として付け加えていく感じです。なので、まずはその核となる幹をつかんでいきましょう。
第1回、第2回で出てきた例文で考えると
・「私は」玄関先で荷物を「受け取りました」
この場合、誰が:私は、 何した:受け取りました、という風になりますね。
※ 「誰が」を主語、「何した」を動詞と表現します。
細かく言うと、主語は「私」で、「は」は助詞とかいうことも言えますが、この講座では何より雰囲気をつかむことを大事にしたいので、ざっくり主語が「私は」、動詞は「受け取りました」でOKです。
・注文していた「荷物が」「届きました」
※ 荷物という主語に、注文していたという情報を足している感じで、「注文していた荷物」を主語と見ていてもOKです。
・黙々と引っ越し作業を「続けています」
・荷物を取りに出たらオートロックで「締め出されました」
※ 主語が省略されるときは言わなくてもわかるときです。
今回の場合はみんなが見ていた絵の人物が主語ということになります。
話し言葉の場合も省略されることが多いです。他にも命令文とか、お願い事、疑問・質問など、明らかに目の前にいる人に伝える内容とか勢いがあるもの・気持ちが強いものは、主語を省略することがよくあります。
・主語:その文章の主人公、メインの登場人物、モノ、コト(私は、荷物が、片付けが)。主語を含む意味の塊を主部ともいいます。(注文してた荷物が)
・動詞:主語が行った動作や状態を示します。日本語だと述語と言われます。
主語と動詞への意識を高めていきましょう。
これから、いくつかタイプに分けて文章を書いてみますので、その文章の主語と動詞を考えてみてください。
(タイプ1)一般動詞でシンプルな形
・太郎は本を読んでいます。
主語:太郎は
動詞:読んでいます
(タイプ2):「時期の指定」とか意味を足す(言葉の数が増えた場合)
・太郎は今日、本を読んでいます。(+今日)
・太郎は図書館で本を読んでいます。(+図書館)
主語:太郎は
動詞:読んでいます
(タイプ3)主語が複数の場合
・太郎と次郎は今日図書館で本を読んでいます
主語:太郎と次郎は
動詞:読んでいます
(タイプ4)いろいろ意味が足された文章の場合(関係代名詞まで)
・太郎と、幼馴染で背の高い次郎は、今日一日、市内の図書館で、最近とても売れているミステリー小説を夢中で読んでいます。
主語:太郎と(幼馴染で背の高い)次郎は
動詞:読んでいます
(タイプ5):主語と動詞が複数ある場合①(think knowのタイプ)
・太郎は、このミステリー小説の犯人は画家のカガさんだと考えています。
主語:太郎は
動詞:考えています
こちらの場合は、主語である太郎が考えている内容に、別の主語、動詞が組み込まれている形になっています。もちろん「犯人」も主語と見ることもできるのですが、今はその一文全体の中のメインの主語=文章の幹、核を見つけ出す練習ですので、答えとしては主語が太郎で、動詞は考えていますとなります。
・次郎は、このミステリー小説の犯人は隣人のミヤモトさんだと考えています。
主語:次郎は
動詞:考えています
(タイプ6):接続詞
・太郎は画家が犯人だと考えていますが、次郎は隣人だと考えています。
主語:次郎は
動詞:考えています
こちらの文章も、主語と動詞が2組あるように見えます、そして、さっきの文章よりもメインの主語-動詞が判断しにくいかもしれません。この文章では「太郎の考えていること」と「次郎が考えていること」ではどちらの方が伝えたいことでしょうか。
そう思ってみると、「太郎が考えていること」が前提であり引き立て役で、この文章で伝えたいのは「次郎が考えている」ということに見えてこないでしょうか。
どんどん行きましょう。
・次郎が本を読み終えるとは思わないが、もし今日中に読み終えられたら、次郎と一緒に感想と考察を語り合いたい。
主語:(太郎が)今回の場合、これまでの文章の流れで省略してみました。
動詞:語り合いたい
今は比較的分かりやすい文章を書いてみましたが、主語のイメージを持ちにくい文章もこれからたくさん出てくると思います。なので、普段から「何が主語」「何が動詞」を意識してみる習慣をつけて文章に接してみてください。
<主語・動詞をイメージしにくい文章の例>
上記の文章は主語が人なので分かりやすかったと思いますので、これが主語のLevel.1となります。そして、動詞も具体的な動作で分かりやすかったので、動詞Level.1ということになります。
参考までに、ほかのレベルがどういうものかを挙げておきます。
・動詞Level.2:be動詞といわれるもの。
動作ではなく存在を表すので「これが動詞!」と言いにくい。
・主語Level.2:主語が生き物でなく物体
・主語Level.3:主語が目に見えないもの(概念)
・主語Level.4:主語がよくわからなくて見えない
主語は少し細かく分けたので、難しそうに見えるかもしれませんが、捉えにくいのは最後のLevel.4のものぐらいだと思います。
主語Level.4、動詞Level.2の例
・太郎は夢中で本を読んでいたので、いつの間にか図書館の閉館時間になっていました。
この場合の主語は何でしょうか。主語:・・・?時間は・・・?、、動詞:なった・・・?いました??という感じで迷ってしまうのではないでしょうか。
今は何も説明していませんので、分からなくて全然大丈夫です。また機会を作って取り上げたいと思います。
ともあれ、いろんな文章で自分でも文章を考えてみることで、一層理解が深まるのでやってみてください。文章に対しての雰囲気や感度がつかめていくのが目標なので、正解/間違いが大事ではないのです。やっていくうちに正確に主語動詞が分かる文章が少しずつ増えてくると思います。
意味なさそうなことも地道にコツコツと、いずれ意味につながってきますので。気を張りすぎずやっていきましょう。
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他のLevelの主語、動詞の練習用の文章は、また時間があったらどこかで作成していきたいと思います。
(サムネにはfirefly(adobe)を使用しています)