初めてのアルバイトを考える③-人見知りとアルバイト
アルバイトに興味はあるけど、なかなか踏み出せない、自信がないという人も多いのではないでしょうか。その理由として「私は人見知りだから、人と話せる自信がないから」というものをよく聞きます。
「人見知りだから人と話せる自信がない」と考える人も多いですが、それは実は正しくなかったりします。正確に言うと、半分正しくて、半分正しくないみたいな感じなのですが。ということで、人見知りとアルバイトができるできないはあまり関係が無いということを見ていきましょう。
人見知りとは何だろうか
「人見知り」の辞書的な意味は「子供などが、知らない人を見て、恥ずかしがったり嫌ったりすること。」とあります。
?? ・・・人見知りって子供のものだったのですね。
「では今のこの私の状況は何なのか?」「大人の人見知りはあるのだろうか?」と思われるかもしれません。私もそう思いました。
なんだけど、このあたりが「人見知り=人と話せる自信がない、ではない」というところに繋がっていきます。
人見知りの人あるある
「何を話せばいいんだろう?」
「こんな話をして大丈夫かな。場はしらけないかな」
「私の話なんて誰が興味あんねん」
などなどいろんなことを考えれば考えるほど、どんどん話せなくなっていくのではないでしょうか。
だいたい雑談は雑な会話ということなので、適当に雑に相手の空気に合わせてで良いのです。なんですけど「このノリで、このリアクションで大丈夫かな」とかいろいろ考えすぎてしまうと必要以上に相手の反応に注目してしまったりして、「やっぱり上手く話せない」というところにたどり着いてしまいます。
そう考えると、大人になればなるほど、
いろいろ考えてしまうから人見知りの方向に走ってしまうか、
会話の経験を積んで、それを乗り越えられるようになるか、の2極化していきそうですね。
子どもは人見知り。大人の人見知りは?
子ども時代の会話と、大人の会話との違いは何でしょうか。
それを考えるのに、社会学の「ゲゼルシャフト」と「ゲマインシャフト」という言葉を借りてみます。
ざっくり説明すると、こんな感じ。
・ゲゼルシャフト:血縁や地縁による繋がり
・ゲマインシャフト:目的や利害による繋がり
これを子ども・大人で考えると・・・
・ゲゼルシャフトが子ども側で、
・ゲマインシャフトが大人側と考えられます。
人見知りとの関係で考えると・・・
・ゲゼルシャフトは縁による繋がりなので、はじめからあるものです。なのでそこでコミュニケーションを取ろうとすると何もない中で話をしていかないといけません。要は0から1を作るために雑談ができる必要があるということです。自分や相手のことなどを話して縁を深めていくことも含みます。
一方、
・ゲゼルシャフトは、何らかの目的による繋がりなので、その目的を達成するためにどうするか、ということが前提にあります。要はその前提に乗っかる話をすれば場は持ちます(1からの流れに沿えば良いのです)。自分や相手の興味関心や感情などについてはおまけと言ってもいいでしょう。(もちろん、そういうものがあった方が目的達成に利することも多々あるので、そういうものを使おうという話もたくさん転がっています)。
そして、もしそういうところに踏み込むことになっても、目的達成のための、という大義名分があるので、何もない状態よりも幾分もやりやすいことでしょう。
このあたりを一言でまとめると、「ゲゼルシャフトでは人見知りであっても、話す内容があるので話せる(=人見知りに見えない)」ということになります。そして、アルバイトはもちろんゲゼルシャフト側のつながりになります。
人見知りの人は1対1のコミュニケーションから
コミュニケーションの場にもいろいろあります。
1対1と大人数の中でだとだいぶハードルは違います。
1対1ならちょっとずつ分かりあって「この話は相手も興味持ってくれる範囲」など話を広げていくこともできますが、
大人数の中での発言は「Aさんにはこの話がいけるけど、Bさんはこういう話嫌いだしな。Cさんは今日テンション低いし。。どうしよう。。」などいろいろ考えてしまうことになります。
なので、大人数の場でのコミュニケーションの方が圧倒的に難しいです。
スモールステップで進むべき方向は、こんな感じになるのではないでしょうか
Step.1:特定の人との1対1の会話
Step.2:いろんな人との1対1の会話
Step.3:2までで話した人たちとの大人数での会話
Step.4:知らない人が混ざっている大人数での会話
Step.5:知らない大人数での会話
特に、ゲマインシャフトの関係性であるアルバイトであれば、「相手が興味を持ってくれるかどうか」は関係なく「仕事で必要な会話」に変わりますので、断然楽に会話できるはずです。
※友達を作るための具体的なStep.1の進み方は他の記事で書ければと思います。
人見知りとアルバイト
アルバイトといえばどんな仕事を思いつくでしょうか。
身近なところで接客業や飲食業が思いつく人も多いでしょう。
そして、「接客業か。。人見知りだしな」で終わっている人はいませんか?
それは余りにもったいないところです。
もちろんアルバイトは、接客(飲食、小売)のほかにも工場、倉庫、警備など、あまり人に関わらないお仕事もあります。どうしても苦手が先行して動けない場合は、そういう仕事からスタートするのもありでしょう。
接客業は人見知りだからできない?
先ほど話していたように、人見知りで大変なのは、①話す内容を自分で考えないといけないことと、②相手の聞く姿勢や受け取り方が大きなところです。
それをお仕事の場合と考えたとき、
①話す内容に関しては、お仕事のことなのでもちろん必要に応じてでOKです。悩む必要はありません。(私も人見知りですが、仕事関係のことや予め話してほしいことを聞いている時は全然話せます)
また、②の相手がどういう姿勢でどういう受け取り方というのも、お客さんは目的があって来店しているので、姿勢もはっきりしています。必要があれば質問があるだろうし、その際も興味が無い態度になることはほぼないでしょう。
なので、人見知りでも大丈夫、に近づいていきますね。
しかし、ここで逆に浮かび上がってくる不安があります。「質問されても分からないことだらけだから怖い」のようなやつです。
この不安は、「分からなかったら上の人に聞く」「ミスしたら謝って今後再発しないように考える」の2つを覚えれば少しの安心材料にはなるでしょう。これが使えるようになると滅多なことでは変なことにはなりません。むしろ、不安で怖がり過ぎた状態で話をしたほうがどんどん悪循環にはまっていくことになります。
そもそも面接が話せない
面接が怖い、という人もいることでしょう。こちらについては、前回の記事で書いていますので、そちらを参考にしてみてください。
それでも、どうしても苦手というなら、タイミーやSpotWORKなど、面接が無く、人と会わない仕事も選べて、手軽にちょっとの時間でからできる仕事から始めてみるのも良いでしょう。
仕事をやり続けていくと、できたことも積み重なっていくので、少しずつ自信につながっていくことも期待できます。
少しずつでも進んでいけますように。
(サムネにはfirefly(adobe)を使用しています)